咎狗の血シリーズ
アキラの呼吸に合わせて、ゆっくりと自分自身を埋め込んでゆく。
「……キツ、イ……な……」
アキラの眉間にもシワが寄っている。
どれだけ馴らしていても、この瞬間だけは仕方が無い。
根元まで挿入を果たした源泉は、アキラの身体が馴染むのを待った。
顔に張り付いた髪を梳いてやると、思いがけず幼い表情に出くわした。
額が露わになると、少年のような印象になる。
骨格も筋肉の付き具合も、青年と呼ぶにふさわしいものだというのに、妙に倒錯した官能を呼び起こされるというのは、どちらが悪いのか。
馬鹿なことを考えていると、いきなり強く締め付けられた。
「痛っ!」
「―――だからっ!」
焦れて潤んだ瞳が源泉を睨みつけていた。
「判ってる。……ちゃんと、良くしてやるから」
源泉は声を落として囁くように告げると、アキラの太ももを掴み、腰を使い始めた。
ひと突きごとに息が荒れ、源泉の額から滲んだ汗が玉となって落ちる。
仰のく喉から漏れるアキラの喘ぎから、羞恥の色が消えた。
揺すられ突き上げられるままに身をくねらせ、甘い声を零す。
言葉に出してもっととねだってくれたらいいのにと、甘い妄想が源泉の脳内をよぎる。
だがそれはほんの一瞬で、すぐに自分の欲望に溺れた。
シーツを掻き混ぜるようにさまよっていたアキラの手が、自分のペニスへと伸びる。
源泉はそれを遮るように、アキラの身体を挿入したまま裏返した。
「――ッあああッ!」
内壁をぐるりと抉られ腰を持ち上げられる。
源泉の動きは容赦の無いものへと変わり、ぱんぱんと肉のぶつかる乾いた音が響いた。
「このままでも、イケるだろう?」
後ろだけで達かせてやろうと囁く声はひどく淫らで、アキラは得体の知れぬ高揚感に包まれた。
背中を伝う汗、めり込むほどに掴まれた尻。
止まらない自分の声に混じって微かに聞こえるくぐもった声は、自分の名を呼んでいる。
身体の奥の方でざわざわと蟠っていた疼きが、ぞろりと蠢き始めた。
源泉の突き上げに押し出されるように、熱が先端へと向かう。
「あっ、あっ、ああっ!」
身体から何かが抜け出てしまうような感覚に、アキラは思わず全身に力を込めた。
怖い。
「アキラ、大丈夫だから」
動きを止めた源泉が、アキラの背中を包むように覆いかぶさってきた。
強張った肩口に、ついばむようなキスを繰り返す。
「そのまま、流れに任せて。力を抜いて……」
ふるふると左右に振られる頭を無視して、源泉は再び腰を使い始めた。
「うっ……っく……うっ、うあっ……あっ、あっ……」
しゃくりあげるようだった声が次第に鼻に掛かった甘い声に戻る。
「そうだ、それでいい……。じっとしてられないなら、動いたっていいんだそ?」
手本を示すように、源泉はアキラの腰をゆらゆらと揺らした。
「ああっ!」
締め付けがきつくなり、蠕動運動が激しくなった。
奥へ奥へと咥え込もうとする内壁の動きに併せ、源泉もより深く突き入れた。
源泉に促されたアキラの腰が円を描くようにくねり始めると、源泉の背筋を快感が走り抜けた。
「んっ……はっ……ああ……んっ、んっ、んっ……」
自分の中に取り込んだ源泉を味わうようにぐいぐいと締め付けてくる。
貪欲に快楽をむさぼるその動きに、源泉の方が翻弄された。
全身が熱くなり、もう、達くことしか考えられなくなった。
「ア、キラ……ッ!」
勢いのままに腰を打ちつけ、すべてをアキラの中に吐き出した。
「熱っ! あっ! あああっっ!!」
どくんと脈打つ刺激につられたのか、アキラの内壁もまたびくびくと収縮し、源泉の欲望のありったけを搾り出すかのように締め付けながらアキラ自身も精を吐き出した。