『艶』

年末年始にもぎとるはずの休暇がのびにのび、松飾りが姿を消した今頃になって雑煮を食うはめになった俺たちは、食料を買い込み、録り溜めしておいた正月番組のビデオを観ながら、こたつでみかんを決め込んでいた。

「甲ちゃんっ!」
「なんだよ」
「今日って何の日か知ってる?」
「あー?成人の日だろ。あ、今は違うのか」

3連休を増やそうなどという理由だけで、祝日が増えたり日付が変わったりするようになった。

「あってるけどハズレー。今日って、アダルトの日なんだってさ」

お気に入りの同人サイトの管理人が日記か何かに書いていたらしく、ご丁寧に読み上げてくださった。
要するに、日本で「額縁ショー」というストリップが始まったのが、1月15日ということらしい。

「甲ちゃん、“額縁ショー”ってさぁ……」
「見たいのか、やりたいのかどっちだ?」
「甲ちゃんは?」
「衣装は見立ててやろう」

依頼人からもらった中国酒が、思った以上に旨かった。
こたつでみかんを食う前に、そいつはすでに空だった。
つまりは、俺も九龍も酔っていた。

「甲ちゃん、これって衣装って言わないと思う」
「俺の誕生日にお前がつけてたヤツと大差ないだろう」
「あれは、甲ちゃんが結んだんじゃないかっ!」
「だから今度もつけてやったろ?いいか、撮るぞ」

二人きりのずれまくった正月には、こんなずれまくった姫始めというのも悪くない。
あとで大きくプリントしよう。
これで毎日額縁ショーが楽しめる。




額縁ショー
END